ぎっくり腰になった直後の対処法|最初の5分から3日間

ぎっくり腰になった最初の5分、数十分、数時間、1〜3日で何を確認し、どう動くかを時系列で解説します。

腰をいたわりながら横向きに休む様子
この記事のポイント
ぎっくり腰になった最初の5分、数十分、数時間、1〜3日で何を確認し、どう動くかを時系列で解説します。

ぎっくり腰は、急に腰へ強い痛みが起こった状態を指す言い方で、特定の病名ではありません。動くのがつらいほどの痛みでも、多くは時間の経過とともに少しずつ和らいでいくとされています。この記事は、いままさに痛みが出ている方が、最初の5分から3日ほどの間に何をすればよいかを判断するための手順をまとめたものです。まず落ち着いて体を安定させることと、腰以外に気になる症状がないかを確認することから始めます。

最初の5分にすること

痛みが出た瞬間は、無理に動こうとせず、その場でいったん動きを止めることが大切です。あわてて姿勢を変えると、転倒や別のけがにつながることがあります。

まず体を安定させる

近くの壁、手すり、机、椅子の背などに手をついて、体を支えられる場所を確保します。立っているのがつらいときは、支えを使いながらゆっくり床に近い姿勢へ移ることを考えます。急に前かがみになったり、腰をひねったりする動きは避けて、小さくゆっくり動くようにします。

腰以外の症状を確認する

腰の痛みとあわせて、次のような症状がないかを確認します。これらは診断を確定するものではなく、早めに医療機関で評価を受けるかどうかを考える目安になります。

  • 排尿や排便がうまくできない、または感覚がわかりにくい
  • おしりや股のまわりの感覚が鈍い、しびれる
  • 両方の脚に力が入りにくい
  • 転倒や交通事故など、大きな衝撃のあとに痛みが出た
  • 胸やお腹に強い痛みがある
  • 発熱や悪寒をともなう
  • 痛みが短時間でどんどん強くなっている

こうした症状があるときや、判断に迷うときは、自己判断で様子を見続けずに医療機関への相談を検討します。受診の目安については受診を考えるサインのページもあわせてご確認ください。腰痛全般の考え方はMindsガイドラインライブラリの腰痛に関する解説英国NHSの腰痛の情報も参考になります。

最初の数十分の動き方

体が少し落ち着いてきたら、痛みの少ない体勢へ移ることを考えます。どの状況でも共通するのは、ゆっくり動くこと、支えを使うこと、息を止めずに動くことです。状況ごとの動き方の目安を下の表にまとめました。

壁や椅子などの支えを使い、腰をひねらずに立つ・床から起きる・椅子から立つ・車から降りる動作の図解
発症直後は、安定した支えを使い、腰だけをひねらず小さく動きます。
状況 動き方の目安 気をつけたいこと
立っていて急に痛くなった その場で止まり、近くの壁や机に手をついて体を支えます 急に前かがみにならず、小さく体重を移します
床に座り込んでしまった いったん四つ這いの姿勢を経由し、片膝ずつ立てて手で床を押しながら起き上がります 腰をひねりながら立ち上がろうとしません
椅子から立ち上がる 浅く座り直して足を手前に引き、手で座面を押しながら上体を起こします 反動を使わず、時間をかけて動きます
車内から降りる 座ったまま体ごと横を向き、両足を先に外へ出してから立ち上がります 座ったまま腰だけをひねって出ようとしません

最初の数時間の過ごし方

移動が一段落したら、痛みが少ない姿勢で体を休めます。楽な姿勢には個人差がありますが、次のような体勢を試す方が多いようです。

  • 横向きになり、両膝を軽く曲げて、膝の間にクッションをはさむ
  • 仰向けになり、膝の下に丸めた毛布やクッションを入れて膝を軽く曲げる

短い休息をとることは問題ありませんが、痛いからといって一日中横になり続けると、かえって回復が遅くなることがあると指摘されています。動けそうなら、痛みが強くならない範囲で少しずつ体を動かすほうがよいとされています。NHSの腰痛の情報でも、無理のない範囲で活動を続ける考え方が紹介されています。

活動量を決めるときの目安は、動いたあとに痛みが元の状態へ戻るかどうかです。少し動いてしばらくすると元の程度に戻るなら、その範囲は続けやすいと考えられます。動いたあとに痛みが増したまま戻らない場合は、その動作を控えます。寝起きや姿勢を変える際のコツは寝方と起き上がり方のページも参考になります。

当日から翌日の対応

この時期は、痛みをやわらげる補助的な工夫を取り入れながら過ごします。

冷やすか温めるか

冷やす、温めるといった方法は、あくまで補助的な手段と考えられています。どちらが優れているかについては、はっきりした結論が出ているわけではありません。Cochraneの腰痛に対する温熱・冷却のレビューでも、効果の確実性は限定的とされています。心地よく感じるほうを短時間試し、肌に直接あてすぎないよう注意します。具体的な使い分けは冷やす・温めるのページで解説しています。

市販薬を使うとき

市販の痛み止めを検討する場合、この記事では個別の薬品名や飲み方の指示はしません。持病がある方、ほかに薬を飲んでいる方、妊娠中の方などは特に注意が必要です。購入や使用の前に、薬剤師や登録販売者に相談し、自分の状況に合う選び方を確認してください。

1日から3日の動作の調整

痛みが少しずつ落ち着いてくる時期は、始めやすい動作と、しばらく控えたい動作を意識して過ごします。判断の基準は、前の章と同じく、動いたあとに痛みが元の状態へ戻るかどうかです。

始めやすい動作 しばらく控えたい動作
ゆっくり歩く 重い物を持ち上げる
家の中を短い距離で移動する 長時間、同じ姿勢を続ける
痛みが強くならない範囲での立ち座り 勢いよく体をひねる
楽な範囲での軽い体位の変換 痛みが増す動作をくり返す

数日たっても痛みが軽くならない、または強くなっていく場合は、医療機関での評価を検討します。前述の腰以外の症状があらわれたときは、日数にかかわらず早めに相談します。

一人暮らしの備えと家族が準備するもの

動くのがつらいときに備えて、手の届く範囲に必要な物をそろえておくと過ごしやすくなります。

  • 飲み物や水を、立ち上がらずに取れる位置に置く
  • 携帯電話や連絡手段を身近に置く
  • 使っている薬や、薬剤師に相談したメモを近くにまとめる
  • 立ち上がる支えになる、ぐらつかない安定した家具を近くに配置する

一人暮らしの場合は、家族や知人に状況を伝え、必要なときに連絡できるようにしておくと安心です。家族が付き添える場合は、上記の準備に加えて、移動を見守り、無理に引き起こさないよう手を添える程度にとどめます。

また、痛みで姿勢や動作が制限されているとき、痛み止めで眠気が出ているとき、体をひねる動きがつらいときは、自分で車を運転しないようにします。医療機関へ向かう際は、家族の送迎や公共交通、タクシーなどを利用してください。

よくある質問

冷やすべきですか、温めるべきですか

どちらも補助的な方法で、明確にどちらがよいとは言い切れないとされています。心地よく感じるほうを短時間試し、合わないと感じたら中止してください。詳しくは冷やす・温めるのページをご覧ください。

とにかく安静にしていたほうがよいですか

短い休息は問題ありませんが、長く横になり続けると回復が遅れることがあるとされています。痛みが強くならない範囲で、少しずつ体を動かすことがすすめられています。

いつ受診を考えればよいですか

排尿排便の異常、股のまわりの感覚の低下、両脚の脱力、大きな事故のあとの痛み、胸腹部の強い痛み、発熱や悪寒、急速な悪化などがあるとき、また数日たっても改善しないときは受診を検討します。受診を考えるサインのページも参考にしてください。

コルセットや骨盤ベルトは使ってもよいですか

一時的に体を支える補助になる場合がありますが、長く頼り続けることは目的ではありません。使う場合も、痛みが強くならない範囲での活動と組み合わせて考えます。

マッサージや強い施術を受けても大丈夫ですか

痛みが強い時期に急な強い刺激を加えると、つらさが増すことがあります。まずは体を落ち着かせ、無理のない範囲で過ごすことを優先します。気になる場合は医療機関で相談してください。

仕事や家事はどこまでしてよいですか

動いたあとに痛みが元の状態へ戻る範囲であれば続けやすいと考えられます。動いたあとに痛みが増したまま戻らない動作は、しばらく控えます。

まとめ

ぎっくり腰は病名ではなく、急に腰へ強い痛みが起こった状態を指します。最初の5分は、体を止めて支えを確保し、腰以外の症状がないかを確認します。数十分から数時間は、ゆっくりした動きで楽な姿勢へ移り、短い休息をとりつつ、寝たきりにならないよう少しずつ体を動かします。冷やす・温める・市販薬はいずれも補助的な位置づけで、薬については薬剤師や登録販売者に相談します。1日から3日は、動いたあとに痛みが元へ戻るかを目安に活動量を調整し、改善しない場合や危険なサインがある場合は医療機関での評価を検討します。運転が難しい状態のときは、自分で運転せず送迎などを利用してください。

参考資料

ぎっくり腰ガイド編集部

公的機関・専門学会等が公開する資料をもとに、一般の方へ分かりやすく整理しています。医師による個別診断や監修を示すものではありません。

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